ドクターからのメッセージ

がんばかりではない、日本人の死。もっと心臓に関心を持ってください。

監修 ◎ 相澤忠範( 財団法人心臓血管研究所所長 )


心臓病は、日本における死因の第2位

三大疾病への関心度を調査したアンケートによると、「悪性腫瘍(がん)について様々なことを知りたい」という方が最も多いというデータが出ています。その次に関心が高いのは脳卒中です。心臓病は、かなり差がついての3位となっています。しかし、厚生労働省によると、狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患の患者様は、すでに100万人を超えるとされており、冠動脈という単一臓器での単一疾患であるという観点からすると極めて数の多い病気です。そして何よりも心臓病は、日本における死因の第2位なのです。

米国では、心臓病は死因の第1位ですから、みなさん大変勉強されていますし、関心も非常に高くなっています。一方、日本では心臓病の患者様が激増しているにもかかわらず、興味を持たれていないのは、とても残念なことです。


バランスの良い食事、適度な運動が、心臓を守る第1の予防

狭心症・心筋梗塞の予防で、一番大切なのは食事です。元々日本人には、心臓病は非常に少なかったのです。しかし、食生活の欧米化により狭心症・心筋梗塞が増えてきました。理想的な食事は和食で、減塩、そして低カロリー。動物性たんぱく質は魚から、そして野菜を多くとる。中でも大豆製品、特に納豆は素晴らしいたんぱく源ですので、積極的にとることをおすすめします。
次に大切なのが運動です。忙しくて運動をする暇がないという方は、歩くことです。ゴルフでも、単純なウォーキングでも良いでしょう。例えば出勤は電車でも、帰宅時は必ず歩いて帰るなどは、すぐに始められる簡単な方法の一つです。


心臓を守る第2の予防は早期発見・早期治療です

もし、少しでも心臓に不安を感じたら、すぐに循環器内科で検査を受けてください。先にお話しした食事や運動といった生活習慣の見直しが“一次予防”なら、早期発見・早期治療が狭心症・心筋梗塞を重篤な症状にしないための“二次予防”といえます。
現在、狭心症や心筋梗塞の治療は、約70%がカテーテルを使用する冠動脈インターベンション(PCI)で行われています。患者様により差はありますが、体への負担が少ない治療法で、通常2泊3日程度の入院ですみます。
薬剤溶出ステントなどの最新の医療機器も登場し、技術もどんどん進歩しています。早期に治療を行い、定期的な通院、薬の服用など、医師の指示を守れば、健康的で豊かな生活を送ることができるのです。


心臓病の怖さは、“突然の死”です

がんについては、みなさんが注意を払っており、ちょっとした症状でもすぐに病院に行って、人間ドックやPET-CTによる検査を受けています。
そのおかげで早期診断ができ、実際に救命率が非常に上がってきています。
がんになっても、治療して快適な生活を送っておられます。それに対し、狭心症・心筋梗塞の恐ろしさに対する認識は低すぎるように感じます。特に狭心症・心筋梗塞は突然死ということが相当の確率で起こります。一方でがんと違い、食生活や運動を中心とした生活習慣を改善することで病気を未然に防ぐことができるのです。ぜひ生活習慣に気を配っていただきたいと思っています。そして少しでも気になることがあったら、必ず心臓の専門医のいる循環器内科を受診してください。


相澤忠範先生プロフィール

相澤忠範先生 福島県立医科大学卒業。
東京医科歯科大学医学部付属病院、平塚市民病院循環器内科を経て、1979年から(財)心臓血管研究所付属病院勤務。2005年より、同研究所
所長。
大学卒業以後40年間、心臓カテーテル検査および治療に従事。
虚血性心疾患における心臓カテーテル治療、冠動脈インターベンションに
造詣が深い。

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