第25回 大型連休中の心臓病対策は?
財団法人心臓血管研究所所長 相澤忠範
●4月末からはじまるゴールデンウィークに備えて、気をつけておくべき心臓病対策はありますか?
ゴールデンウィークは、他の時期の休暇と比べても、寒くもなく、暑くもなく、とても気候に恵まれていますね。今年は平日を数日休みにすることで、2週間程度の大型連休になります。
ここで気をつけるべきことは、すでに心臓病で病院にかかっている方は、薬が切れないように十分な処方をしてもらうことです。心臓病の中でも狭心症などの冠動脈疾患の場合は、万が一に備えて、ニトロ製剤(硝酸薬)の錠剤かスプレーを処方してもらいましょう。
たまの長期休暇で、うれしくなってついつい無理をしがちになりますが、長旅をする場合は、体調を整えて、ご自身の体力に見合った無理のないスケジュールを立てることが非常に重要です。長時間の移動や、不十分な睡眠での長歩きなどは、体に大きな負荷をかけます。薬を処方されている方は、旅先にも忘れずに携帯してください。
また、旅行となると、すべての食事が外食になります。外食は高カロリーで、かつ塩分も多いのが特徴です。新年など長い休暇で起こりやすいのが、短期間での急激な体重の増加です。楽しいうえにおいしいので、ついつい食べ過ぎてしまいがちですが、油断するとすぐに数キロ増えてしまいます。体重は増やすのは簡単ですが、戻すのは本当に大変です。カロリーや塩分の摂りすぎに十分注意しましょう。
●旅行ならではの、気をつけるべきことはありますか?
今年の3月に米国心臓病学会(AHA)で、"交通混雑を経験すると、1時間以内に心臓発作を起こすリスクが約3倍になる"という驚くべき内容が発表されました。心臓発作を経験した1,454名に聞き取り調査を行ったところ、多くの人が発作の1時間以内に交通混雑を経験していたということです。また、このことは、運転しているかどうかは問題ではなく、運転していても、バスに乗っていてもリスクは同様であったとのことです。ストレスと大気汚染の相乗効果によるものであることも想定されますが、運転していてもいなくてもリスクが変わらないということは、排気ガスと大気汚染が大きな原因であることが示されています。
この結果から、長時間、乗り物に乗ることそのものが心臓病の引き金になることがうかがえます。これに、疲れと緊張が加わりますから、旅行に行くと、心臓病になりやすい素地ができやすくなります。とにかく無理なスケジュールを組まずに、旅行先でもよく歩き、食生活に気をつけることが重要です。
●病院が休診中の場合、どのような兆候があったら救急車を呼ぶべきでしょうか?
基本的には、普段の場合と変わりません。いままで心臓病にかかったことがない人は、何でもなかったウォーキングやちょっとした坂を登るなどの行動で、息苦しくなる、休んでも治らない、冷や汗がでる、などいつもと違う様子があった場合は、すぐに救急車を呼びましょう。また、休んで治ったとしても、できるだけ早く受診することが必要です。すでに心臓病をもっている人も、まずはニトロで対応して、それでもおさまらない場合は、迷わず救急車を呼ぶことが重要です。失神するなど意識がなくなってしまった場合は、いうまでもなく救急車を呼ばねばなりません。
また、見逃されがちですが、呼吸困難でもなく、胸痛でもないけれども、全身から力が抜けて動きづらくなるという虚脱状態の場合も救急車を呼んでください。虚脱状態というのは、何かしらの原因で血圧が下がっているか、徐脈(心臓の収縮が遅くなる)になっているなど、心疾患の可能性が考えられます。
体調管理や薬など、十分な準備を整えて楽しい休暇を過ごしましょう。

【プロフィール】
福島県立医科大学卒業。東京医科歯科大学医学部付属病院、平塚市民病院循環器内科を経て、1979年から(財)心臓血管研究所付属病院
勤務。2005年より、同研究所所長。
大学卒業以後40年間、心臓カテーテル検査および治療に従事。虚血性心疾患における心臓カテーテル治療、冠動脈インターベンションに造詣が深い。