ハートのつぶやき
ためらわず救命を!
2010年09月01日
昨年もこのハートのつぶやきで取り上げましたが、9月9日は「救急の日」。そして、この日を含む一週間は救急週間とされており、今年は9月5日~11日になりますね。
さて、一般の皆さんにも広く知られるようになってきたAED。Automated External Defibrillatorの略で、日本語では、自動体外式徐細動器といいます。今年3月に米国の権威ある医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(THE NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE)」で、日本の徐細動による救命率の調査研究が発表されました。それによると、2005年1月1日から2007年12月31日の3年間のうち、日本全国で、病院外で心臓停止となり救急隊による蘇生が試みられた312,319例のうち12,631例が、AED使用により蘇生効果の高いとされる心室細動でしたが、実際に居合わせた人によりAEDが用いられ電気ショックが行われたのは、462名で、このうち1ヶ月後に146名(31.6%)の人が社会復帰できていたとのことです。逆に、その場で使用されなかった12,169例のうち、社会復帰できたのは1,669名(13.7%)にとどまっていたとのこと。復帰できた人数の比較もそうですが、その場でショックが与えられた人が、与えられなかった人よりもかなり少ないということをみても、もっと普及することが期待されますね。
ただ、明るいニュースもあり、公共AEDの設置件数が増加したことによって、一般市民による救命率もその前の1.2%から6.2%に上昇したとのこと。調査の終了が2007年末ですので、それからさらに普及していることが予想されます。
そもそもAEDを一般市民が使用できるようになったのは、2004年の7月から。厚生労働省をはじめとする国の関係機関や有識者により検討がなされ、医療従事者だけでなく、一般市民を含めた幅広い非医療従事者が参画することで救命率を高めようとしたものです。通常、治療行為を行えるのは医師だけですが、AEDを用いて救命を行った場合は、医師法違反にならないものと考えるとされ、刑事責任についても人命救助の観点からやむをえず行った場合は関係法令に照らし合わせて免責されるべきとし、このような消極的な安心感を与えるだけでなく、積極的な取り組みを促すべき、としています。
早期通報(119番)・早期心肺蘇生(心臓マッサージ)・早期徐細動(AED)・早期高度医療処置(医療機関による処置)という「救命の連鎖」をスムーズにつないでいくことが、救命率を上げるのに非常に重要な要因となります。目の前で倒れた人に救命処置を行うことはとても勇気のいることですが、あなたが一歩踏み出すことで救われる命があることを思い出して下さい。
■外部リンク:
THE NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE
http://content.nejm.org/cgi/reprint/362/11/994.pdf
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/07/s0701-3.html
心肺蘇生法委員会
http://www.qqzaidan.jp/AED/index.htm
■関連リンク:
第2回 家族、友人が心筋梗塞を起こしてしまったら?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/2_1.php
第5回 米国と日本を比較、狭心症・心筋梗塞の予防と対処|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/5.php
狭心症・心筋梗塞患者さんの体験談(第5話 心筋梗塞から生還!いまはボディビルダー)|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/taiken/eps05.html
塩の次は砂糖 !? シュワッとおいしい“飲み過ぎ”にご用心
2010年08月02日
毎日、毎日暑い日が続く、今日この頃。ビールと並んで、この時期たくさん飲まれるのが、コーラやサイダーをはじめとする炭酸飲料。「あつ~い!」と言いながら、プシュッとプルトップを開けて一気にのどに流し込むと、汗も、すーっと引いていきますよね。ところで、この炭酸飲料、今年の3月あたりにニューヨークで新しい税金の対象となりかけていたって知っていましたか?その名もソーダ税(soda tax)。そういえば、これと似たような話どこかで聞いたような…。そう、前々回のハートのつぶやきでも紹介した、減塩に関する運動を思い出しますよね。塩の次は砂糖!?という気もしますが、今回は市民の健康増進もさることながら景気の冷え込みで落ち込んだ税収の確保が大きな目的とのこと。結果的には否決されたようですが、1オンスにつき1セント税(penny-per-ounce tax)といわれ、一般的に販売されている12オンス缶(355ml)だと1本当たり、12セントの値上げで税収としては10億円の歳入を見込んでいたんだそう。
さて、日本に炭酸飲料が入ってきたのは、なんと今話題の黒船来航とともに、なのです。1853年、ペリー率いる黒船が浦賀に来航した時に、飲料水として積んでいた炭酸レモネードを日本側の交渉人たちに振る舞ったのがはじまりなのだそう。ポンという音に、相手の攻撃かと驚いたという話もあるのだそうですが、このレモネードというのがなまってラムネという名前がついたのだそうです。この炭酸レモネードが、日本で初めて製造された清涼飲料水になのだそう。オレンジジュースやリンゴジュースかと思いきや、意外ですね。
さて、先ほどのソーダ税、税収の面だけでなく、市民の健康増進にも一役買うとのこと。というのも、先ほどの12オンス缶1本につき、平均で茶さじ10杯分もの砂糖が含まれており、肥満の大きな原因になっているとのこと。実際に、30年間で炭酸飲料などの甘い飲み物の消費は3倍に増えており、これは子供たちにもいえることで、肥満のリスクが60%増加するとのこと。肥満はもちろん心臓病や糖尿病など重篤な疾患の原因となります。
税金を課すかどうかはさておき、たしかに飲み過ぎはよくないですね。とはいえ、たまに気分転換の一杯は必要。最近は糖分控えめのものもいろんな種類がでていますから、工夫して、楽しくおいしく暑い夏を乗り切りましょう!
■外部リンク:
ニューヨーク市
http://www.nyc.gov/html/hhc/html/pressroom/press-release-20100308.shtml
清涼飲料の歴史
http://www.beverage.co.jp/fun/handbook/book.swf
■関連リンク:
第7回 予防で一番大切な要素は食事、そして運動。|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post.php
第20回 治療後の暮らしについて|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_13.php
~おいしくてからだにやさしい~ 我が家のハートケアレシピ入選作品発表|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/recipe/
夏の夜空を彩る風物詩 ストレスもドカンと発散!
2010年07月01日
今月あたりから全国各地で開催される夏の風物詩といえば、そう、花火大会。行きも帰りも人ごみにもまれて、「もう大変!」といいながらも、目の前で広がる色とりどりの花火を見た瞬間、そんなしんどさも吹っ飛んでしまいますね。帰りの電車でぎゅうぎゅう詰めになりながらも、やっぱり毎年行きたくなってしまう、その美しさは本当に魅力的。最近では、コンピュータ制御などによってより精密な仕掛けが施された花火もあるのだそう。顔やマークなどさまざまな形の花火が打ち上げられた時も驚きでしたが、花火も年々進化しているのですね。
さて、花火の起源については諸説ありますが、発祥は中国で、黒色火薬が発明された後、通信手段として使われた「のろし」がはじまりのようです。近代的な観賞用としての花火は14世紀のイタリアで生まれたといわれており、キリスト教の祝祭などで火を噴く人形のようなものだったとのこと。日本に火薬が入ってきたのは、16世紀に火縄銃や戦に用いられるのろしなどでしたが、伊達正宗が1589年に花火を見たという記録や、1613年にイギリス国王ジェームス1世の使者が駿府城を訪ねた際に、徳川家康に花火を見せたという観賞用としての記録も残っているそうです。これ以降、大川端(隅田川)の下屋敷をはじめ、江戸の町民にも広がりますが、花火を原因とする火災がたびたび発生し、大川端以外での花火が禁止されました。しかし、8代将軍吉宗のときに、飢饉と疫病が大流行したため、死者の慰霊と悪疫払いのため施餓鬼を行い、花火を打ち上げて供養したとのこと。これが年中行事となり、現在の花火大会のもとになったといわれています。ちなみに花火が打ち上げられるときにかけられる「たまや~」という掛け声、このころに活躍した花火師の名前からきているそうです。
この打ち上げ花火、大きくは「割物」と「ぽか物」に分類され、割物は典型的な玉の中心から色の光が広がっていくタイプで、代表的なものとしては菊などがありますが、顔やマークなどの型物もこの割物の一種なのだそう。ぽか物は、玉が上空でくすだまのように2つに割れるタイプで、柳などがこのタイプに該当します。打ちあがってから消えるまでどのような形や色を表すかによって玉名(ぎょくめい)がつけられますが、実に何十種類もあるそうです。
夜空に花咲く鮮やかな色彩と、「ドンッ!」というお腹に響くような音は、ストレスも吹っ飛んでしまいますね。笑ったり感動したりしてストレスを解消することは、心臓病の予防にもとっても良いこと!飲み過ぎに注意しながら、夏を彩る花火を楽しみましょう!
■外部リンク:
社団法人 日本煙火協会
http://www.hanabi-jpa.jp/
■関連リンク:
第18回 ストレス社会における心臓病|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_11.php
狭心症・心筋梗塞患者さんの体験談(第3話 狭心症の克服がもたらした価値観の転換)|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/taiken/eps03.html
第9回 虚血性心疾患を重篤にしないために|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_2.php
甘いものは、脂肪を控えめに…。
2010年06月01日
なんだか雨ばかりで、どうも、さえないな~、という気分が続く今日この頃。おうちでごろごろして、ついつい、間食が多くなってしまう人も多いのでは?「だって、目の前に甘いものがあったら、ついつい手が伸びちゃうよ。」なんて声も聞こえてきそうですが、今月の16日は「和菓子の日」、って知っていましたか?これは、全国和菓子協会により、1979年に制定されました。
その由来、ときは平安時代848年、国内に疫病が蔓延したことから仁明天皇が元号を「嘉祥」とあらため6月16日に16の数に因んだ菓子や餅を神に供えて疫病除けや健康招福を祈ったことに始まるとされています。このお祭り、室町時代にはだんだんと民間にも広がっていき、江戸時代になると、将軍に直接お目通りすることのできる大名や旗本以上の人たちに大広間でお菓子を振る舞い、これを“嘉祥頂戴”といったそうです。また庶民の間でも、“嘉祥喰”といって、嘉定通宝16枚で菓子を求めて食べる、米1升6合と菓子を交換して食べるなどして、疫病退散、健康招福を祈願する行事として盛んに行われたとのこと。明治以降、その文化はなくなっていったそうですが、実に1,000年近く続いたことになりますね。
さて、糖分の摂り過ぎは肥満にもつながり、心臓病の予防としては避けたいものではありますが、あまり我慢しすぎるとストレスがたまって、頑張りが途切れた時のドカ食いになるので、ときには息抜きが必要…、ですよね?その時に、ケーキやクッキーを食べるのではなく、和菓子の方が心臓病のもととなる動脈硬化には良いようです。というのも、ケーキやクッキーをはじめとする洋菓子には、バターや乳製品などの動物性脂肪が多く含まれており、コレステロールのもととなりやすいもの。その点、和菓子は動物性脂肪が少なく、小豆やイモ類など、食物繊維などを摂ることもできます。確かに、こってりした洋菓子は魅惑の食べ物。さっくりとしたクッキーや口の中でとろけるクリームは絶品ですよね。ただ、動物性脂肪の割合が多いのも事実。習慣的な摂取は、動脈硬化のもととなります。
雨の降り続くこの時期、職人さんの技巧が凝らされた美しい和菓子をおともに、摘みたての新茶を頂くというのも気分転換にいいですね。
■外部リンク:
全国和菓子協会
http://www.wagashi.or.jp/
■関連リンク:
心臓病の予防|心臓にやさしい生活環境|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/care/
第21回 食生活が動脈硬化の進行を左右する 気をつけたい食事は?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_14.php
~おいしくてからだにやさしい~ 我が家のハートケアレシピ入選作品発表|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/recipe/
要、減塩!高血圧は心臓病のもと…。
2010年04月30日
今年はじめに、ニューヨーク市がはじめた運動、みなさんはご存知ですか?それは、「全国減塩運動(National Salt Reduction Initiative)」。
塩分の取り過ぎは、さまざまな病気の原因となりますが、行政が主導して減塩運動を行うというのは、驚きですね。あくまで任意の運動とのことですが、これにより年間で、ニューヨーク市では2万3,000人、米国全土で80万人もの命が救われ、数十億円もの医療費が削減されるであろうとのことです。というのも、アメリカ人は推奨されている1日の食塩摂取量の約2倍を摂取しており、これが高血圧の拡大となって、ひいては心臓発作や脳卒中を引き起こしているとのこと。ご存知の方も多いかもしれませんが、心臓病はアメリカでの死因の第一位です。
市保健当局の発表によると、対象となるのは61品種の加工食品と25品のレストランの食べ物。摂取しているナトリウムの80%は加工食品やレストランの食べ物からのものであり、個々人が自分で塩入れから摂取しているのはたったの11%であるからだそう。「消費者はいつでも塩を足すことができるのに、それを除くことはできない。(“Consumers can always add salt to food, but they can’t take it out.”)」とは、ニューヨーク市衛生局長のトーマス・ファーリー医師の弁。目標としては、これらの食品から5年間で25%の食塩を減らし、食塩の摂取量を20%減らすのだそうです。
この運動、ニューヨークだけのものかと思いきや、欧州諸国でもその動きがあるようで、イギリスでは同様の活動が食品業界と政府との連携でなされ、いくつかの食品で40%以上の減塩を達成しており、これに続いて2010年までにはレストランの食べ物で3分の1減らすという全体目標が達成できるとのことです。他にも、カナダでもこの問題に取り組もうとしており、オーストラリア、フィンランド、アイルランド、ニュージーランドでも全国レベルでの減塩運動に取り組んでいるのだそうです。
塩辛、梅干し、漬物などなど、何かと食塩と日常の食生活が切り離せない日本人にとっては、なかなか厳しいお話ですね。ただ、日本の研究でも町ぐるみで減塩に取り組んだ結果、脳卒中などの重篤な病気が減少したとの報告があるのも事実。最近は減塩でも美味しい加工食品やレストランメニューもあるようですので、一度、試してみてはいかがでしょうか。
■外部リンク:
ニューヨーク市
http://www.nyc.gov/html/doh/html/pr2010/pr002-10.shtml
http://www.nyc.gov/html/doh/html/cardio/cardio-salt-initiative.shtml
■関連リンク:
心臓病の予防|心臓にやさしい生活環境|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/care/
第21回 食生活が動脈硬化の進行を左右する 気をつけたい食事は?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
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~おいしくてからだにやさしい~ 我が家のハートケアレシピ入選作品発表|ハートケア情報委員会
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歩いてボランティア、適度な運動は心臓にもマル!
2010年04月01日
桜の花も咲いてきて、ようやく春らしくなってきました。今年は、3月末にも雪が降り、桜の花の上に雪が積もるという珍しい景色もあったようですね。寒さも落ち着き、ようやく本格的な春。冬眠から目覚める熊ではありませんが、暖かくなると、自然と外に出てお散歩をするのも楽しくなりますね。
ところで、毎年4月の第2日曜日は、「全国一斉ラブウォークの日」というのを知っていましたか?この歩く取り組みは、1965年にイギリスで生まれました。発展途上国のこどもたちの健康に役立てられるようにと、参加費が募金となるこの運動は、ユニセフの活動の一環で、日本では1983年に日本ラブウォーク協議会が活動をはじめ、その後、1986年に記念日として制定されました。運動しながらボランティアをできるなんて一石二鳥!
さて、運動の話題は、みなさんも近年よく耳にするようになりましたね。メタボという言葉が一般的にになり、運動への関心も高まってきたのか、平成20年の国民健康・栄養調査結果の概要で、年代や性別にばらつきはあるものの、平成15年に比べて男性4%、女性で3.4%と男女ともに、運動習慣のある人*の割合が増加しました。もっとも数値が高かったのが、男性の70代で41.9%、続いて女性の60代で41.2%と、比較的ご高齢の方に運動習慣がある方が多いことが分かりました。みなさん、健康には気を使っているんですね。
ただ、気になるのが歩数です。平成15年と平成20年の比較で、男性が7,503歩から7,011歩で492歩減少、女性が6,762歩から5,945歩で817歩減少と、男女とも歩数の平均値が下がっています。「今日は運動するぞ!」と思った時は、しっかり体を動かすけれど、歩くという日常的な運動は取り組みにくくなっているのかも知れませんね。ちょっとの距離でもタクシーを利用したり、階段を使わずエレベーターやエスカレーターに乗ってしまったりと、心当たりはありませんか?
最近では、歩いた距離に相当するタクシーの金額を表示する万歩計も出ているそう。歩数をお金に換算してみるという発想が面白いですね。運動は、“激しく、ときどき”よりも、“無理のない範囲を、日常的に”の方が、心臓病の予防には効果的です。運動の目安は、“無理のない範囲で、30分程度”がいいそうです。散歩をするにはちょうど良いこの時期。桜や緑を楽しみながら、歩きを楽しみましょう!
*運動習慣のある人:1回30分以上の運動を週2日以上実施し、1年以上継続している人
■外部リンク:
日本ユニセフ協会
http://www.unicef.or.jp/index.html
厚生労働省 平成20年 国民健康・栄養調査結果の概要
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/11/h1109-1.html
■関連リンク:
狭心症・心筋梗塞患者さんの体験談(第5話 心筋梗塞から生還!いまはボディビルダー)|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/taiken/eps05.html
第26回 運動と体内の塩分と水分の関係は?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_19.php
減少する愛煙家。禁煙は、自分と人のために。
2010年03月01日
昨年は文学の世界で、太宰治と松本清張の生誕百周年ということもあって、彼らの作品が改めて多くの人に読まれました。今年、2010年は、日本が生んだ世界的映画の巨匠、黒澤明監督の生誕百周年。「羅生門」、「椿三十郎」、「あかひげ」など、いまだ色あせない作品を多く残したのみならず、ハリウッド映画に与えた影響も多大で、黒澤明監督の作品を参考にして作られた作品も多くあるそうです。ちなみに今月の23日が彼の誕生日。
さて、彼ら日本の誇る文化人の在りし日の写真や映像に、必ずといっていいほど登場するのがタバコ。煙を吐き出しながら、考え深そうにしている様子にしびれるファンも多いのでは?そうでなくても、昔の映画やドラマを見てみても、あらゆるシーンでタバコが登場しますね。昔からいわれ、最近ではデータもたくさん出てきていますが、体にとってもお財布にとってもタバコがもたらす“福”はありません。値上がりを機に禁煙した元スモーカーも多いのでは?
先月に続き、平成20年の国民健康・栄養調査結果の概要によると、「タバコを吸うと病気にかかりやすくなる」という問いに対し、5年前の平成15年の調査から“心臓病”と回答した人は、脳卒中7.3%、肺気腫7%に続く4.9%と、知識の高まりを見せました。また、受動喫煙を問う、「タバコの煙を吸うと病気にかかりやすくなる」とした質問に対して5.4%の上昇と、心臓病は最も高い伸びを示しました。心臓病への理解、深まってきましたね!ただし、「現在習慣的に喫煙している人*における1日21本以上吸う人の割合」では、男性が70歳以上のみが前回調査よりも3.5%多かったのを除いて減少傾向にあるのに対し、女性は、20代で3.4%、50代で3.1%、60代で9.9%の上昇を見せており、喫煙者の数自体は男性より圧倒的に少ないものの、なかなかやめられない女性の姿もうかがえました。
もともと吸わない人はそうですが、元スモーカーたちもやめてしまうと、煙のにおいをかぐのも嫌になる人も多いそう。煙にも体に良くないものがたくさん含まれていますので、本人はもちろん、周りにも悪影響を与えます。
かつては多くの人に愛されたタバコですが、今度は愛する人のために禁煙を始めてみませんか?
*現在習慣的に喫煙している人:これまでに合計100本以上または6ヶ月以上タバコを吸っている(吸っていた)人のうち、「この1ヶ月間に毎日または時々タバコを吸っている」と回答した人
■外部リンク:
厚生労働省 平成20年 国民健康・栄養調査結果の概要
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/11/h1109-1.html
■関連リンク:
第24回 気になる"タバコ"の心臓への害とは?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_17.php
第15回 喫煙と心臓病の関係|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_8.php
美味しいチョコ、誘惑の甘さ・・・
2010年02月01日
2月14日は言わずと知れた、バレンタインデー。日本では、女性が男性にチョコレートを渡すのが慣習になっていますが、チョコレートって、女性も男性も熱狂的なファンが多いようですね。お父さんが会社の同僚からもらってくるチョコレートをひそかに楽しみにしている、お母さんや子どもさんも多いのでは!?
さて、甘いものと言えば、ダイエットをするときに、まずは“禁止”にするもののトップバッターになるものですが、これはデータにも表れているようです。平成20年の厚生労働省による「国民健康・栄養調査結果の概要」で、「体重を減らすために食事面で行っていること」の質問では、男性で33.9%、女性で47.5%の人が「お菓子や甘い飲み物の量を調整している」と回答しています。それ以外に回答数が高かったものは、「食事の量を調整している」が男性49.3%、女性46.2%、「夜遅い時間の食事を控えている」が男性31.5%、女性49.6%となっています。食事の量が多く、夜遅い時間に食事をし、甘いものを好きなだけ食べたら、確かに体重は増えてしまいますね…。皆さん、健康や体型を維持するために、”食べたい欲求”と戦っているのですね!意外に少ないのが「飲酒量を調整している」で男性22.1%、女性6.7%。アルコールへの欲求は、甘いものに勝るものなのかも。
ちなみに、肥満の男性で体重を減らそうと思っていない人は29.8%、女性では20.4%と10%ほどの開きがあります。逆に、男性の低体重(やせ)の人で体重を減らそうと思っている人は2.4%、女性では12.6%と、いずれをとっても体重に対しては、女性の方がシビアな一面が垣間見えます。
「過ぎたるは及ばざるが如し」。やせすぎも太りすぎも健康にはあまりよくありません。極端な我慢は体に毒ですが、夜中にブランデーを飲みながら、甘いものを好きなだけ食べる、というのはちょっと控えて、砂糖控えめのココアなどでお腹を満たすなど、食欲とは上手につきあいましょう。
■外部リンク:
厚生労働省 平成20年 国民健康・栄養調査結果の概要
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/11/h1109-1.html
■関連リンク:
心臓病の予防|心臓にやさしい生活環境|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/care/
~おいしくてからだにやさしい~ 我が家のハートケアレシピ入選作品発表|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/recipe/
第34回 睡眠・食事、特に若い心臓病患者さんの特徴とは?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_27.php
塩分は適量を!ヒトとシオの長いおつきあい
2010年01月12日
2010年、あけましておめでとうございます!ハートのつぶやきもめでたく3年目に突入することができました。今年も、幅広く話題を提供してまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。
さて、みなさん一度は聞いたことがあると思われる、“酒は百薬の長”という言葉。実は、その前に“塩は食(しょう)肴(こう)の将”という句がついていることを知っていましたか?漢書の『食貨志』の一句、「夫れ塩は食肴の将、酒は百薬の長にして、嘉会(かかい)の好なり。鉄は田農の本、」というのもので、約2,000年前、中国は新の皇帝・王莽が、“塩”、“酒”、“鉄”を国家が専売するものとして定めたものです。しばしば、お酒好きの人たちの間でお酒に言及した部分だけが取り上げられますが、実は、財政を確保するためだったのですね。日本でも、つい10年くらい前の1997年に塩の専売制が廃止されるまで、塩は日本専売公社(1985年より日本たばこ産業が業務を継承)のみが取り扱えるものだったのです。ちなみに新は政策の失敗などから約15年でその歴史に幕を閉じます。
ところで、ハートケア情報委員会でも、委員からしばしば積極的に摂取するように言われる野菜ですが、野菜料理の代表格でもある“サラダ”、実は、ラテン語で塩を示す“サル(Sal)”から来ていて、塩で調理したもの、という意味であり、これは、フランス語、イタリア語、ドイツ語などヨーロッパに幅広く広がっています。また、給料を意味する“サラリー”も古くは“Salarium(塩の)”というラテン語からきたもので、兵士に給料として塩を支給していたことが語源になっているとのこと。塩、って奥が深いですね。
さて、そんな塩ですが、日本では年間に約900万トンが消費されています。このうち、調味料や食品加工などの食用になるのはなんとたったの15%程度。残りはどのように使われているかというと、ソーダ工業を中心とする多くの産業で使用されているのです。ソーダ工業では、塩を原料とし、ナトリウムと塩素に分解して、か性ソーダやソーダ灰、塩素や水素などが作られます。か性ソーダからは、紙・アルミ・石けんなどが、また、ソーダ灰からは、ガラスやホーロー製品のうわぐすりなど、塩素からは、なんとCDなどが作られるのです。
食用だけじゃない、生活に不可欠な塩。ただし、摂りすぎは、心臓病を引き起こしますのでご注意を!今年も健康的な食生活で楽しく過ごしましょう!
■外部リンク:
くらしと塩
http://www.jti.co.jp/Culture/museum/sio/japan/kurasi.html
■関連リンク:
第7回 予防で一番大切な要素は食事、そして運動。|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post.php
第26回 運動と体内の塩分と水分の関係は?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_19.php
~おいしくてからだにやさしい~ 我が家のハートケアレシピ入選作品発表|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/recipe/
忘れられがちな危険因子。心臓病の原因をおさらいしよう!
2009年12月01日
師走の12月。寒さも本格的になり、この季節になると胸がきゅっとする感じを受ける人も多いのでは?たびたび起こるようであれば、必ず専門医にご相談を!
さて、「寒い季節になると心臓病は起こりやすくなるの?」とは、ハートケア情報委員会の委員もよく患者さんに聞かれること。確かに、気温が下がると、自律神経の影響で心臓の血管の全体のトーンや緊張度が上がり、狭くなることがありますが、これは攣縮(れんしゅく)性狭心症といわれる、心臓病の一部に該当するものです。高血圧のある場合は、寒くなると狭心症になりやすい、とも言われますが、寒さなどの気温はあくまできっかけ。そもそも心臓病になる要素が心臓の血管にないと、気温で急に心臓病になることはないわけです。
心臓病の危険因子は、もう覚えていますよね?そう。高血圧・脂質異常症(高脂血症)・糖尿病・肥満・ストレス・喫煙・遺伝などです。しっかり健康管理をして、日頃から気をつけましょう。
さて、かつては狭心症や心筋梗塞の危険因子であった高尿酸血症、その結果起こる痛風は、「風が吹いても痛い」あるいは、「痛みが、風が吹くように全身を移動する」とされる病。ぜいたく病などとも言われていましたが、尿酸が関節内で結晶化することで、炎症反応が起こることによる痛みとされています。その歴史は西洋では古く、エジプトで発掘されたミイラの関節の中に尿酸塩が見つけられたとの報告もあります。日本では、近代になってからで、実際に増えてきたのは1960年代になってから。まさに、食生活の変化によりもたらされたといえるでしょう。最近では「プリン体カット」などといった食品も多く見受けられますね。
心臓病の危険因子は、単独であれば、すぐに発症するわけではありませんが、数が増えることにリスクが高まります。それも「2つだから2倍になる」という単純計算ではなく、2乗、3乗になることも。
危険因子は、心臓病だけでなく、単独でも日常生活に大きな障害をもたらします。忘年会に、クリスマスと食生活が乱れがちなこの季節。普段のリズムを崩さず、健康的な年末年始を過ごして下さいね。本年もハートケア情報委員会を応援くださりありがとうございました!
■外部リンク:
リウマチ情報センター
http://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm120/kouza/tsufu.html
財団法人 痛風研究会
http://www.tufu.or.jp/index.html
■関連リンク:
第4回 最近の傾向とリスクファクター|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/4.php
第21回 食生活が動脈硬化の進行を左右する 気をつけたい食事は?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_14.php
第32回 寒さと心臓病の関係は?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_25.php
11月23日はハートケアの日!見直そう、食生活。
2009年11月02日
今年で早くも3度目を迎える”11月23日は「ハートケアの日」”。「勤労感謝の日」にちなんで、仕事(勤労)の資本となる体の核となる心臓(ハート)に関心を持っていただこうと、2007年に制定しました。
ホームページでもご案内をしているので、お気づきの皆さんも多いことかと思いますが、今年は料理研究家の浜内千波さんにご協力をいただき、皆さんから「我が家のハートケアレシピ」を募集いたしました。すでに受付は終了していますが、ご応募いただいた多数の皆さま、本当にありがとうございました!委員・事務局一同、心よりお礼申し上げます。いろいろなレシピを拝見して、皆さんがご家族やご友人など、愛する人のために心をつくして”ハートのレシピ”を考えていらっしゃることがうかがえました。ご応募いただいたレシピの中から「ハートケアレシピ 大賞」を選出し、今月半ばにその発表会も実施します。発表会の様子やレシピは、後日ホームページでも公開しますので、皆さん楽しみにしていてくださいね。
さて、パワーの源が食事なら、健康の源もやはり食事。塩分や脂質など、細胞が生きるためのエネルギーとしては必要不可欠なものですが、摂取しすぎることによる弊害の方が大きくなっているのが、昨今の日本の食事情といえるでしょう。最近では、ダイエットを気にして、カロリーを気にする人は多いようですが、食事は何といってもバランスが重要。カロリーが抑えられていても、同じものばかり食べていたり、糖分や油分の多い食事だけでカロリーを満たしたり、野菜やカルシウム不足になると、体は栄養過多と栄養不足が同時に来てしまうような状態になります。
かつては長寿の代名詞であった沖縄も、2005年の「都道府県別平均寿命」の調査では、女性は1位をキープしているものの、男性25位と全国でも真ん中より下となっています。前回調査の26位からワンランク挽回したものの、なかなか厳しい状況。研究者の間では、戦後の沖縄の食生活の変化が大きく影響しているといわれています。また、かつて海外に移住し食生活に変化の生じた日本人移民に狭心症や心筋梗塞といった心臓病が多く見受けられたという話は有名です。
毎日続けるからこそ、病気にも健康にもなりうる食生活。ハートのレシピを増やして、元気な心臓(ハート)を維持したいですね!後日公開する、浜内さん監修のレシピも是非参考にしてみて下さい。
■外部リンク:
ハートケア情報委員会 浜内さんとお医者さんのハートケアクッキング
http://heartinfo.jp/recipe/cooking.html
厚生労働省 平成17年 都道府県別生命表の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/tdfk05/index.html
■関連リンク:
~おいしくてからだにやさしい~ 我が家のハートケアレシピ入選作品発表|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/recipe/
第7回 予防で一番大切な要素は食事、そして運動。|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post.php
心臓病の予防|心臓にやさしい生活環境|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/care/
心臓病・失明…。糖尿病がまねく病
2009年10月01日
かつては体育の日として知られた10月10日。現在、体育の日は、ハッピーマンデー制度により、10月の第二月曜日となっています。10月10日にちなんでもう一つ良く知られているのが「目の愛護デー」。10月10日の“10”、“10”を並べて縦に書いてみると、眉毛と目に見えることから、決められたとのこと。その歴史は古く、1931年に中央盲人福祉協会が「視力保存デー」として制定したのが始まりとのこと。戦後は、現在の厚生労働省に当たる、厚生省が「目の愛護デー」と改名しました。
そもそも、このような日が設けられたのも失明を予防するため。現在、日本の失明の大きな原因は糖尿病といわれています。少し前のデータになりますが、1988年の厚生省(現:厚生労働省)による「視覚障害の疾病調査研究」によると、糖尿病性網膜症により、年間3,000人が失明しているとのデータもあり、決して見逃すことはできません。
網膜には細かい血管が密集していますが、血糖値が高い状態が続くことにより、網膜には大きな負担がかかって血管がもろくなり、それが原因で、血管の狭くなったり、血管の透過性が上がったりすることで、網膜の酸素や栄養が不足し、結果的に網膜が破壊されることによって引き起こされます。
さて、これを読んで、鋭いハートケア読者は気づいたのでは!?そう。糖尿病は、血管に多くの悪影響を与えますので、当然、目に張り巡らされた網膜だけでなく、全身の血管にも悪影響を与えます。もちろん心臓にも。
網膜以外の代表的なものは、糖尿病性腎症。これは腎臓の、ろ過する機能が衰えることで、全身に尿素などの毒素が回り、透析を受けなければならなくなる病気。それ以外には、糖尿病性神経障害。血管障害から、下肢など、心臓から遠い血管の血流が悪くなることで、足を切断することもある病気です。心臓も3本の太い血管である冠動脈で覆われていますので、糖尿病により血管がもろくなれば、当然リスクが高まります。ハートケアの委員からもよく注意がでていますね。
2008年に厚生労働省より発表されたデータによると、糖尿病が強く疑われる人890万人、可能性が否定できない人1,320万人と合わせて2,210万人も糖尿病のリスクがうかがえたとのこと。日々の積み重ねが大きく影響する病気だからこそ、気をつけて予防したいですね。
■外部リンク:
厚生労働省 平成19年 国民健康・栄養調査結果の概要について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/h1225-5.html
健康21(糖尿病)
http://www1.mhlw.go.jp/topics/kenko21_11/b7f.html
社団法人 日本眼科医会
http://www.gankaikai.or.jp/
■関連リンク:
生活習慣病|生活習慣病について|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/disease_l/index.php
第4回 最近の傾向とリスクファクター|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/4.php
第37回 心臓病は完治するのですか?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_30.php
大切に使おう!救命救急
2009年09月08日
9月9日は救急の日。そのままゴロ合わせで1982年に制定されました。万が一のときに、私たちの命綱になる救急車。皆さんも、一日に一度は、見かけたり、サイレンの音を聞いたりすることがあるのでは?今回は、救命救急の現状について考えてみましょう。
平成20年版消防白書によると、平成19年の年間救急出場件数は約529万件で、平成9年からの10年間でなんと52%も増加しているとのこと。10年間で1.5倍とは驚くべき数字です。また、その2年前の平成17年調査の計算では、なんと国民の26人に1人が年に一度は救急車を使っているということになるそうです。その症状の度合いを見てみても、重症であったケースはなんと1割。入院の必要のない軽傷者は52%もいたとのこと。
救急車は、急病やけがなど、一刻も早く優先的に医療機関を受診するためのもので、症状がひどいのに我慢して呼ばないというのは、絶対にあってはなりません。しかしながら、119番通報を受けて、現場に駆けつけてみると、さほど重症でもないのにタクシーの代わりとして呼んでいたり、話し相手が欲しくて呼んでいたりなど、本来の救命救急とは違う目的で通報をしているケースも少なくないとのことです。
ハートケア情報委員会の委員からたびたび話がでますが、適切な処置を、心肺停止から3分以内に、呼吸停止から10分以内に行わないと、死亡率は5割に達してしまいます。そして、心肺機能が停止して、救急車を呼ぶ人は、年間に10万人もいるのです。緊急性のない救急車の出動で、これらの本当に助けを必要としている人たちに、救命の手が届かないことは、なんとしても避けなければなりません。
実際に、出動依頼の急激な増加に比べ、救急隊の増加は約8%にとどまっています。また、現場到着から病院収容までの平均時間は、26.4分と10年前に比べ6.5分も遅くなっているとのことです。普段の生活であれば、6.5分は大した長さではありませんが、救命救急の現場では、まさに生死をわける大切な時間なのです。
家族や友人、自分自身、いつお世話になるか分からない救命救急。思いやりをもって、適切に利用しましょう!
■外部リンク:
平成20年消防白書
http://www.fdma.go.jp/html/hakusho/h20/h20/index.html
政府インターネットテレビ
本当に救急車が必要ですか?~救急車適正利用についてのお願い~
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg1359.html
総務省消防庁 救急車の適正な利用について
http://www.fdma.go.jp/html/new/kyukyu_riyou.html
■関連リンク:
第2回 家族、友人が心筋梗塞を起こしてしまったら?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/2_1.php
第23回 日本の医療環境について|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_16.php
第28回 海外旅行の際の心臓病への準備は?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_21.php
クラゲに心臓はある??
2009年08月03日
夏真っ盛りの8月。灼熱の太陽にさらされてビーチでの海水浴や日焼けが楽しい時期ですね。ただし、8月も後半になると、クラゲが出没して、楽しみたくても海に入れない…、ということも。ところで、クラゲってなんとなく得体のしれない感じですが、どんな構造になっているのでしょうか?たとえば心臓はあるの?
クラゲはサンゴなどと同じ、棘胞(しほう)動物に分類されます。この棘胞動物はどれも口と肛門が一緒になっています。プランクトンなどを食べて生息していますが、触手などをつかって円盤型のカサの内側にある口に運んでいきます。カサの中央部にある胃で消化した栄養は、カサから周辺にのびる水管とよばれるところを通っていきます。水管は、カサの周りを囲むようにも張り巡らされており、全身に栄養するようになっています。つまり、消化器と循環器の二役をこなしているような状態ですね。
では、気になる心臓は?というと、心臓はありません。同じ棘胞動物である、サンゴやイソギンチャクにもありません。心臓がない、という点で言うと、単細胞動物である、アメーバなどと同じですね。
ところで、「あんなに柔らかそうなのに、なぜ刺されると痛いのか」というのは不思議なところです。クラゲは、外部から刺激を感じると、表面の内側から、刺胞と呼ばれる毒を含んだ器官が表面に突き出します。そして、刺胞の先端部分にある刺糸とよばれる毒針で刺すのです。刺糸は全身に張りめぐらされているので、クラゲのどの部分に当たっても刺されてしまいます。ミズクラゲなど、毒性の弱いものもありますが、刺されると広い範囲にわたって赤くはれてしまうアカクラゲや、ハブよりも強烈な毒をもつといわれるハブクラゲなども存在し、このようなクラゲに刺された場合は、ショック状態になるなど、命の危険にさらされる場合もあるため、動かさずにすぐに医療機関に行く必要があります。応急処置としては、患部に食酢をかけると、刺胞のはたらきを弱めることができるそうです。
食用にもされるクラゲですが、栄養はほとんどなく、食感を楽しむためのものということ。ただし、漢方では、二日酔い、高血圧などの改善に用いられることもあるようです。
8月上旬に、クラゲが出没することも珍しくない昨今。食酢を持って出かけるなど、十分な準備をして海のレジャーを楽しんでください!
■外部リンク:
生き物紹介シリーズ
http://www.marine.fks.ed.jp/ikimonoshokai/mizukurage/kurage.htm
家庭の医学
http://book.jiji.com/igaku/info/bite.html
全国珍味商工業協同組合連合会
http://www.chinmi.org/zukan/kurage/kurage.htm
■関連リンク:
心臓のはたらきとしくみ|心臓病について|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/disease_h/index.php
虚血性心疾患について|心臓病について|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/disease_h/001.php
第1回 狭心症・心筋梗塞とは|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/1_2.php
栄養の宝庫、納豆
2009年07月01日
海外でもよく知られた日本食の代表と言えば、スシ・テンプラ・ヤキトリなどなど。欧米の食事に比べてヘルシーであるとのことから、最近では、海外でも日本食のレストランが珍しくないですね。そんな中でも、なかなか好きになってもらえないのが、“納豆”。外国の方だけでなく、日本人の中にも、好き・嫌いがはっきりと分かれますね。独特のニオイとねばねばが、どうしても・・・という人は多いはず。
“良薬口に苦し”ではないですが、納豆は、栄養の宝庫。ひと頃、その具体的効果などについて議論を呼びましたが、含まれているものをみてみると、体に良いことは、やはり間違いないようです。
まずは、その名の通りナットウキナーゼ。食品の中では、唯一、納豆だけに含まれるものですが、納豆菌が作り出す酵素の一種です。心臓病にも関連する血栓の溶解作用があり、心臓病の他にも、脳梗塞など血管が関わる病気の予防に期待されています。ナットウキナーゼはさらに、直接、血栓を溶かすはたらきをするだけでなく、プロウロキナーゼと呼ばれる他の血栓溶解酵素を活性化してくれるとのこと。そのほかにも、骨の形成を高めるビタミンKや、納豆そのものに含まれる食物繊維と納豆菌との相乗効果で、腸内の環境を整え、便秘の改善にも一役買うとのこと。
ただし、納豆にはひとつ注意があります。心臓病で、ワーファリンを服用している人は、納豆を食べてはいけません!!ワーファリンには血液を固まりにくくする作用があり血栓症を予防するために飲みますが、納豆に含まれるビタミンKと一緒に摂取すると、薬のはたらきを打ち消してしまいます。ときどき、血が固まるのを防ぐというはたらきが同じことから、納豆を食べてはならない薬をアスピリンと間違える人がいますが、一緒に服用してはならないのは、アスピリンではありません。むしろ、アスピリンを服用している人にとって納豆は全く無害ですので、積極的に食べるようにしましょう。
とはいえ、良い食品も、そればかり食べているとやはり偏ってしまうもの。栄養に優れた食品をバランスよく摂取しながら、楽しく・おいしくいただきましょう!
■外部リンク:
全国納豆協同組合連合会
http://www.710.or.jp/index.html
まめ知識
http://www.takanofoods.co.jp/knowledge/index.html
納豆の効能
http://www.adumas.co.jp/effect/effect.htm
■関連リンク:
第7回 予防で一番大切な要素は食事、そして運動。|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post.php
第21回 食生活が動脈硬化の進行を左右する 気をつけたい食事は?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_14.php
心臓病の予防|心臓にやさしい生活環境|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/care/index.php
心臓カテーテルの歴史 先人の英知で先端治療を実現!!
2009年06月01日
今月の25~27日に「日本心血管インターベンション治療学会」が行われます。この学会は、ハートケア情報委員会でも発信している狭心症の治療方法のひとつでもあるカテーテル治療について、日本や世界各国から医師たちが集い、治療方法を議論したり、学んだりするところ。これまで2つあった学会が統合して立ち上がる最初の学会ということもあり、より活発な議論がなされるものと予想されます。このような場での研究が、私たちの治療にも反映されているのですね。
心臓におけるカテーテル治療の歴史をひも解くと、実はかなり古いことがわかります。時は1929年、のちに世界大恐慌のきっかけともなるブラック・サーズデーが起こった年。ドイツ出身のヴェルナー・フォルスマンは、なんと、自分の腕を切開し、尿カテーテルを自身の心臓の右心房まで通したのです。カテーテルを通したまま放射線医学の部署まで駆け込み、レントゲン写真を撮ってカテーテルが確かに右心房まで届いていることを確認したというのだから驚きです。こんな命をかけた実験を行ってほめられるかと思いきや大間違い。この一件で彼は病院を解雇されてしまいます。しかし、1956年、彼が初めて自分の心臓にカテーテルを通してから約30年が経過して、その心臓の研究への貢献が評価され、ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
カテーテル治療が実際に人になされるのは、さらに20年が経過した1977年。ドイツ人医師で当時スイスのチューリッヒ大学に勤めていたグルンツィッヒ医師により、風船を取り付けたカテーテルでもって、狭くなった血管を内側から広げるという治療方法が行われたのです。なんと、この患者さん、治療を受けた30年後の2007年に世界的学会であるTCTに元気な姿でご登場されたそうです。その後、1986年には、バルーンだけではすぐに押し戻ってしまう血管を内側から支えて広げるステント(チューブ状の金網)がはじめて人に留置され、2002年には、ステントに再狭窄(治療した血管が再び狭くなること)を防ぐ薬が塗られた薬剤溶出ステントが使われるようになりました。
最初にカテーテルが人類の心臓に届いて、今年で80年。先人たちのたゆまぬ努力と治療への信念の上に確立した今日の医療の歴史を感じますね。
■外部リンク:
日本心血管インターベンション学会
http://www.jsichp.com/index.html
日本心血管カテーテル治療学会
http://www.jacct.com/
私たちの暮らしと医療機器
http://www.jfmda.gr.jp/kikaku/02/index.html
■関連リンク:
第10回 狭心症などの冠動脈疾患の治療について|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_3.php
第8回 虚血性心疾患の治療後のクオリティ・オブ・ライフについて|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_1.php
心臓病の治療|冠動脈インターベンション|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/cure/index.php
色とストレスの関係 お気に入りの色で気分もリフレッシュ!
2009年05月01日
5月4日はみどりの日。先月末からのゴールデンウィークではじまる今月は、お正月・お盆にならぶ連休で、休暇気分を満喫できますね。旅行やドライブなど遠出をして、まぶしい盛りの緑をいっぱいに浴びる人も多いのでは?この新緑、見ているだけですっきりと気分がよくなりますね。木々の放出するマイナスイオンなどの影響ももちろんあるのでしょうが、実は色そのものに人体に大きな影響を与える力があるとのこと。そこで今月は色のお話。
ある実験によると、赤、オレンジ、黄、緑、青、紫、ピンクの7色でストレスの計測指標として唾液中のアミラーゼ濃度を測ったところ、黄>紫>緑>青>オレンジ>ピンク>赤の順にストレスの軽減が確認できたそうです。
インテリアの世界では、この色彩の人間に与える影響が考慮されて、リフォームや部屋のコーディネートの際に、生かされているとのこと。黄色には自律神経を活性化する効果があり、心臓や肝臓のはたらきを促進したり、胃や腸の活動を盛んにしたりしてくれるそうです。緑は、安定感や平常心を取り戻す効果があり、副甲状腺の分泌を促して、肝臓を刺激し血圧の調整を行うとのこと。安静を与える青には、副交感神経系を刺激して、脈拍・呼吸・血圧・体温を下げる効果があり、神経を鎮静化させるため、不眠症に適しているとのこと。逆に、赤には交感神経系を刺激して脈拍・呼吸・血圧を上昇させ、消化液の分泌を促進させるため、食欲を増進させてくれるとのこと。
実際に、赤・黄・オレンジ等の暖色と青・黒・青紫等の寒色で統一した部屋では、体感温度が約3度も変わるという実験結果が出ているのだそうです。普段、何気なくそろえてある身の回りのものですが、配色に工夫をして、リフレッシュしてみてはいかがでしょうか?
■外部リンク:
室内空間におけるストレスを軽減する色彩環境に関する研究
http://www.watanabe.arch.waseda.ac.jp/lab/resume/2006/A/2006A0027.pdf
色彩が人間に与える影響
http://www.i-yoshioka.com/color.htm
色彩心理学スーパーガイド
http://www.fitness-japan.com/shikisai/shikisai20.html
脂はアブラでも、からだにいい魚の脂
2009年04月01日
入学式に、入社式と、桜の木の下で、めでたく人生の門出を祝い、歓迎会にわくこの季節。和食に欠かせないのはやはり、“生”でも“焼き”でも“煮”でもいけるおいしいお魚。
今月の13日は“水産デー”。1901年のこの日、旧漁業法が制定されたことにちなんで、1933年の5月に制定されました。
“同じ脂なのに、どうしてお魚だといいの?”とは誰もが疑問に思うところ。ハートケア情報委員会のドクターズコラムでもよく出てくる不飽和脂肪酸には、善玉コレステロール(HDL)を増やすはたらきがありますが、魚に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などは、まさにこの不飽和脂肪酸なのです。しかも、ちゃんと世界で有名な医学論文でも認められているというのですから驚きです。
ハーバード大学など、アメリカのボストンで行われた40歳から84歳までの健康な男性医師22,071人を17年間以上の経過観察にて調査した研究によると、採血検査で、n-3系不飽和脂肪酸が高い男性は、低い男性に比べ、突然死の割合が10分の1であったとのこと。また、日本においては、神戸大学の横山教授らが総コレステロール値250ミリグラム(血清1デシリットル当たり)以上の日本人の男女約2万人を対象にした調査があります。全員にコレステロールを下げる薬を処方した上で、半数の人にEPAを抽出した高純度のカプセル薬も毎日飲んでもらったところ、約5年間の追跡期間中に心臓突然死や心筋梗塞などの心臓病が起きた人の割合は、EPA薬を飲まなかった人では3.5%、飲んだ人では2.8%。EPA薬の服用には、心臓突然死や心筋梗塞などの心臓病のリスクを19%減らす効果があったとのこと。魚の中でもイワシやサバなどの青魚の方がこれらの不飽和脂肪酸がより多く含まれているそうです。その他にも、魚は、タンパク質はもちろん、カルシウム、タウリン、鉄分など栄養満点。
おいしいだけじゃない、魚の心臓への効果。お店に行って、いろいろな魚を見比べながら、選んでみるのもいいですね。
■外部リンク:
日本食品機能研究会
http://www.jafra.gr.jp/usa18.html
カラダカラ
http://www.karadakara.com/dict/byoki/meal/sakana-abura.html
フィッシュワールド
http://www.fishworld.or.jp/index.html
足は第二の心臓 歩いて血行も良好に
2009年03月02日
「寒い、寒い」と、顔を合わせれば合言葉のように繰り返す日も減ってきた今日この頃。月末には地域によっては桜の開花も見られるようになると思うと、「あ~、春めいてきたな」という気がしますね。寒さが和らぐと、やはり活動的になるもの。近づきつつある春の風を感じながら、散歩を楽しむ人も増えてくるのでは?
歩くことは健康の基本。足は第二の心臓とも言われますが、足は体の一番下の部分にあり心臓からも離れていて、心臓で送り出された血液を送り返すには心臓のポンプ力だけでは十分でないとのことで、それを補うのがまさしく歩行。歩くことで足の形を様々に変化させることにより、筋肉が伸び縮みして血行が良くなるのだそうです。元気に歩くためには、歩きやすくて快適な靴が欠かせませんね。
さて、3月15日は、「靴の記念日」とされています。靴業界の先駆者の一人である西村勝三が、明治3年3月15日に陸軍の兵士用の靴を国内生産するため、築地入船町に日本初の靴工場 「伊勢勝造靴場」を開設したことを記念して当時の東京靴同組合より制定されたとのこと。伊勢勝造靴場の場所は、現在の東京都中央区入船三丁目。入船橋交差点の傍にあるNTTビルの前にその石碑が立てられています。勝三は、その一生を靴業界発展のために尽くした靴業界の象徴として認められている人物なのだそうです。
勝三は天保7年(1836年)江戸丸ノ内佐野藩邸内に生まれた武士の子でしたが1860年、明治維新の7年前のこと「これからは武士の時代では無い」と、武士を捨て商人になります。当時専売品であった朱の密売を行い、収監されたにも関わらず謹慎中に商売を行い、石川島の人足寄場(今でいう自立支援施設)に収容されたこともありましたが、その後、神田弁慶橋に銃砲店を開き短銃の革袋も手掛けたのが、彼が革製品を取り扱うはじまりでした。日本は開国後、洋服や靴を日本人の手で作れるようにするため欧米をはじめとする諸外国から多くの技術者を招きましたが、これを率先して行ったのも勝三だったそうです。また、その技術を伝承すべく、弟子の育成にも力をいれたとのこと。
春の訪れを感じながら歴史に思いを寄せてみるのもなかなか趣深いですね。
■外部リンク:
足と靴と健康
http://www.fha.gr.jp/foot/foot2.html
日本の革靴の歴史
http://www.ttkm.jp/japan_rekisi.html
靴の記念日について
http://www.toukutsu-kyokai.jp/kutsu_kinenbi.html
2月1日~7日は生活習慣病予防週間!!
2009年02月02日
今年も始まって早くも一ヶ月。お仕事も学業もようやくエンジンがかかりかけてきたのでは!?それにしても、暦の上では春というものの、寒さはますます厳しさを増すこの時期ですね。さて、年間のうち、毎年特に冷え込むのが2月の上旬あたり。厚生労働省では平成9年より、毎年2月1日から7日を「生活習慣病予防週間」としています。その趣旨としては、『生活習慣病を予防するためには、健康づくりのための正しい知識の普及啓発を図ることが重要であり、そのため本予防週間では、自らの生活習慣を見直し、行動変容を促すために必要な情報を提供することとしている』(平成19年度実施要綱より一部抜粋)、とされています。
ところで、生活習慣病予防のテーマとしては、ハートケア情報委員会の委員からもよく食事・運動・タバコが挙げられますが、今回はちょっと話題を変えて睡眠に関するお話。
平成18年社会生活基本調査によると、日本人の睡眠時間は平均7時間42分で、過去20年間に渡って減少し続けているとのこと。睡眠は休養だけでなく、記憶・気分調節・免疫機能の増強など、さまざまな精神機能や身体機能に関連しているとされ、健やかな睡眠を保つことは日常生活を元気に送るための基本ともいえるものですね。
睡眠不足や睡眠障害は、生活習慣病にも悪影響を及ぼします。睡眠障害の中でも特に睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まるため、血液中の酸素濃度が低下し苦しくなって目が覚めますが、眠るとまた止まり苦しくなって目覚める、ということを一晩中繰り返すため、慢性的な睡眠不足に陥ります。これが居眠り運転の原因になるだけでなく、血液中の酸素濃度の低下は、高血圧、高脂血症(脂質代謝異常症)、糖尿病、高尿酸血症などを悪化させ、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなるのです。また、このような睡眠障害でなくても、睡眠不足は身体にストレスとして蓄積され、狭心症や心筋梗塞を引き起こす原因になるとのこと。
冬眠ではありませんが、寒さでエネルギーが消費されやすい季節。しっかり睡眠をとって、体力維持に備えたいですね。
■外部リンク:
e-ヘルスネット 休養・心の健康づくり
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/index.html
厚生労働省 健康日本21
http://www.kenkounippon21.gr.jp/
生活習慣病を知ろう
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/seikatu/index.html
心もあらたに ジョギングで乗り切る2009年!
2009年01月07日
あけましておめでとうございます。“ハートのつぶやき”もようやく一周年を迎えることができました。今年もご愛読、宜しくお願いします。
さて、新年といえば、おせちにお雑煮、おしること、なんだか食べ物ばかり想像してしまいますが、年明け早々、毎年開催されるのが、そう「箱根駅伝」。寒空の下、箱根の厳しい坂道を必死で走リ抜き、たすきをつなぐ若者たちに心打たれ、「自分も負けてられない」と気持ちを新たにする方も多いのでは!?第一次世界大戦直後の1920年(大正9年)に誕生したこの大会は、今年で85回目。歴史の重さを感じますね。駅伝やマラソンのようなハードなスポーツではありませんが、ジョギングは健康を保つのにとても良いとか。そこで2009年の第1号はジョギングと心拍数のお話。
心拍数とは1分間に心臓が何回血液を送り出しているか、ということですが、50~100回が正常値とされています。運動をすると心拍数は上がりますが、なんと効率的に脂肪を燃焼する値があるとのこと。そのための基礎データとなるのが、安静時心拍数と最大心拍数。目標心拍数は、安静時心拍数と最大心拍数の値を元に、目標とする運動の強度によって異なります。一般的に、レースを目指す場合は85%以上、これから運動を始める場合は50~60%とされていますが、脂肪の消費を最も効率的にするのは、目標強度を最大心拍数の55~65%になるようにしたとき、とされています。90%など更に強度を高くしたらもっと脂肪が燃えるかというとそうとは限らず、急に強度な運動をすることは逆に大変危険なので無理をしないで下さいね。
目標心拍数は、以下の公式によって求められます。ご自分の運動時の心拍数が、目標心拍数の値と合っているかは、走った後、安静時と同じように立ち止まって脈拍を6秒測り、10倍にして確認してみましょう。走ることが習慣になると、心臓が一度にたくさんの血液を送り出せるようになるとのこと。ジョギングのみならず、今年は何か運動をして、健康的な一年を送りましょう!
【目標心拍数の計算方法】
・安静時心拍数=起床時の心拍数(脈拍)
・最大心拍数=220-年齢
・目標心拍数=(最大心拍数―安静時心拍数)×目標強度(%)+安静時心拍数
■外部リンク:
心拍数を味方に効率的なジョギング
http://beautystyle.jp.msn.com/dietfitness/feature/bijin_body/jog/heartrate/
RUNNER WOMAN
http://runwoman.jp/rw/special/sp_01columns/post_111.php
年越しそばで、今年に感謝!来年も元気に!!
2008年12月01日
あっというまの師走。この一年はどんな年だったでしょうか?良いことも悪いことも“行く年、来る年”。この一ヶ月をしっかり乗りきって新しい気持ちで新年を迎えたいですね。さて、その年の最後の日になるのは大晦日。大晦日といえば、そう、年越しそば。そこで今回はそばの話。と、その前に、そもそもなぜ大晦日にそばを食べるのか?「寿命や家運がそばのように細く長く続きますように」という願いを込める、というのが一般的な説。ですが、これ以外にも、そばが切れやすいことから一年の厄や苦労を切り捨てて来年に持ち越さない、とする説や、金銀細工師が飛び散った金粉をかき集めるときにそばの団子を使ったことから金運を上げる、というものもあります。
そばが注目される秘密はなんといってもその栄養価。食物繊維の“ヘミセルロース”が含まれているため、便秘解消に一役買います。また、“畑の牛肉”といわれるほどタンパク質が豊富。体重やおなかの周りが気になる方は、お肉の代わりに摂取するのもいいかもしれませんね。そして、「ルチン」。ルチンとは、ポリフェノールの一種で蕎麦の実に多く含まれているもの。特徴として、①毛細血管や血管の膜に厚みと弾力を持たせることで高血圧を予防する、②血圧を下げるはたらきがあり、心臓病や脳血管障害を予防する、③すい臓に障害をもたらす物質のはたらきを弱めることで、すい臓機能を活性化し、糖尿病を予防・抑制する、④脳の細胞脂質が酸化することを防ぎ、脳細胞を活性化され、記憶力が向上するはたらきがある、といったようなものです。
さて、この蕎麦。日本だけのものかと思いきや、なんと世界中で食べられているとのこと。蕎麦の総生産量が世界1位、そして消費量も世界1位というロシアの代表的なそば料理はカーシャ。挽き割り蕎麦を塩味に仕上げたおかゆで、ロシアの代表的な家庭料理。暖まりそうですね。中国南西部の四川省、雲南省の山岳地帯はそばのルーツとして有力な地域。ヘイロと呼ばれる内モンゴルの押し出し蕎麦は、練ったそば粉をヘイロといわれる器具を用いて押し出し、ゆでた麺に具入りのスープをかけて食べるもの。場所は飛んでフランスは北西部のブリュターニュ地方。年間を通して晴れの日は殆どなく、酸性の強いやせた土地という中で、育てることができたのが、サラザンと呼ばれるそば。このサラザンをクレープ状にして食べるガレットは、そば粉に水と塩を混ぜ合わせ、目玉焼き、ハム、チーズなどを包んだ代表的な料理。ガレットが料理であるのに対し、小麦で作られるデザート用のものをクレープと呼んで分けているとのこと。またイタリアでは、12世紀に十字軍がイスラム圏からそば粉を持ち帰ったことから、そば料理が始まったといわれ、今でこそ、主食は小麦粉へと切り替わっているものの、そば粉とジャガイモのニョッキなどかつては家庭料理の主軸。いまでも地方の家庭にいくとお目にかかることができるのが、ピッツオッケリと言われるひも皮状のパスタ。短めのパスタで、味、色ともに日本のそばにそっくり。キャベツやチーズと一緒に食べるもので食感がたまらなく良いとのこと。
今年の大晦日は、いつもの年越し蕎麦にひと工夫してみるのも良いかもしれませんね。
なにはともあれ、今年一年、ご愛読ありがとうございました。来年もハートケア情報委員会を宜しくお願いいたします!
■外部リンク:
そばの散歩道
http://www.nichimen.or.jp/
めん雑学辞典
http://www.shimadaya.co.jp/knowledge/soba.html
11月23日は「ハートケアの日」!!
2008年11月14日
突然ですが、クイズです。「1日に10万回、1分間に5リットル」。これ何の数字だか分かりますか?実はこれ、心臓が拍動する回数と心臓から送り出される血液の量を示したものなのです。握りこぶし程度の大きさの心臓が、毎日休むことなく、寝ている間も動きつづけているというのは、本当に感謝につきますね。「ハートケアの日」は、「勤労感謝の日」にちなんで、まさにそんな働きものの心臓(ハート)に関心を持っていただきたいという願いからハートケア情報委員会が2007年に制定したもの。仕事(勤労)もやはり資本である体の核となる心臓が動いてのこと。あまりに当たり前すぎて、日頃気にかけないからこそ、勤労感謝の日と共にハートケアの日も少し思い出してみてくださいね。
ところで、この勤労感謝の日。1948年に公布・施行された祝日法(国民の祝日に関する法)では「勤労を尊び、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」となっています。戦前は、この日は「新嘗祭」とされていて、今と同じく祭日となっていました。新嘗祭とは、新穀を得たことを神さまに感謝するお祭りですが、勤労の目的を再確認するという意味では、現代に通じるものがありますね。勤労感謝の日の意味する“勤労”は、農業をして生産を行うものだけを示すのではなく、サービスや製造など幅広い意味をもっています。
では、なぜ11月23日かというと、1873年に太陽暦が導入されるまで使用されていた旧暦では、11月の2回目の卯の日が新嘗祭に当てられていたのですが、太陽暦を導入した際に、これまでと同じように新暦の11月の2回目の卯の日を新嘗祭としたところ、その初年度の日付が11月23日であったということです。まったく偶然に決まった形で、11月23日という数字に意味はないとのこと。新嘗祭から、勤労感謝の日になったものの、以来、今日に及ぶまで100年以上この日が使われています。年末も近づき、なにかと気ぜわしくなるこの時期。ちょっと休んで心臓(ハート)にも感謝してみてくださいね。
■外部リンク:
日本文化いろは事典
http://iroha-japan.net/iroha/A02_holiday/14_kinro.html
こよみのページ
http://koyomi.vis.ne.jp/directjp.cgi?http://koyomi.vis.ne.jp/reki_doc/doc_0746.htm
ハートのつぶやき~毒にも薬にも!?適量が肝心!
2008年10月01日
いよいよ秋も深まり、少しずつ紅葉が楽しめる時期になってきましたね。食欲の秋とはよくいいますが、秋風に吹かれながら、日本酒を頂くというのもおつなもの。実は10月1日は「日本酒の日」。ここでちょっとお酒について。
“酉”は「トリ」と読まれていますが、もともとは酒壷の形をあらわす象形文字で、昔は“酉”だけで酒を意味していたそうです。中国古代の天文学、暦学から生まれた十二支は、日・時刻・方位など順序を表す記号で、月にも使われていました。日本では十二種の動物で表されていますが、十二支の10番目にくるのが“酉”。この月に、穫り入れたばかりの新穀を使い、酒造りを一斉に始めたのが10月。そこから「酒の月」とされ、かつては10月から翌年の9月までを酒造年度としていたそうです。
この日本酒と心臓病の関係ですが、狭心症や心筋梗塞を引き起こす動脈硬化は、コレステロール値が高くなることによって促進されますが、コレステロールには、悪玉(LDLコレステロール)と、善玉(HDLコレステロール)の二種類があり、このうち悪玉は、全身にコレステロールを運ぶ働きをもちます。それと反対に善玉には、血管や組織に溜まったコレステロールを肝臓まで運び、処理するという働きがあります。
悪玉が増えすぎると動脈硬化が起こりやすくなりますが、善玉の方が増えれば、総コレステロール値が高くても、動脈硬化にはなりにくいのです。この善玉コレステロールが、日本酒に含まれる成分によって増えるということが、数々の研究から明らかになっています。一部の調査では、お酒をまったく飲まない人よりも適量を飲む人のほうが狭心症や心筋梗塞など動脈硬化性の心臓病になりにくいというデータも。とはいえ、「百薬の長」も、ほどほどが肝心。節度を守って飲みましょう。
【適正飲酒の十カ条】
1.談笑し 楽しく飲むのが基本です
2.食べながら 適量範囲でゆっくりと
3.強い酒 薄めて飲むのがオススメです
4.つくろうよ 週に二日は休肝日
5.やめようよ きりなく長い飲み続け
6.許さない 他人(ひと)への無理強い・イッキ飲み
7.アルコール 薬と一緒は危険です
8.飲まないで 妊娠中と授乳期は
9.飲酒後の運動・入浴 要注意
10.肝臓など定期検査を忘れずに
■関連リンク:
適正飲酒の十カ条
http://www.arukenkyo.or.jp/
日本酒と健康
http://www.takashimizu.co.jp/enjoy/health4.html
日本酒雑学
http://www.sakejapan.com/sake-info/sake-info14/1001.html
ハートのつぶやき~宇宙空間と寝たきりは類似?!
2008年09月01日
古の昔、まだ「月にうさぎがいるかも」と言われていた頃、人間が宇宙を旅するなんて夢のような話でした。しかし、最近では多くの宇宙飛行士が派遣され、宇宙の神秘が少しずつひも解かれてきています。さて、9月12日は宇宙の日。そこで、今回ハートが注目したのは、宇宙空間すなわち無重力状態で身体にかかる負荷のおはなし。
皆さんもご承知の通り、我々地球人は、常に1Gの負荷がかかった状態で立ったり(立位)、座ったり(座位)と、重力に反した姿勢で生活しています。そのため1Gの環境に適応できるよう人間の身体は変化してきました。一方、宇宙空間では0(ゼロ)G、つまり無重力状態になりますので、1Gの環境に適応した我々の身体には、その滞在期間などにより、様々な弊害が生じることが報告されています。骨格などの運動器官は、運動により、機能低下をある程度抑えることができますが、心臓などの循環調節機能に対する耐性は、運動などで機能低下を抑えることができませんので、地球に戻ると、循環調節機能がうまくいかず、血圧が低下し、めまいや立ちくらみになるのです。
もし、重力に対する循環調節機能が備わっていなければ、立ったままでいると、重力に従い足の方に流れる血液量が多くなります。平常、体内で循環する血液量は一定ですので、足に血液がたまると、その分、脳へ送り出される血液量が減り、血圧の低下をまねき、めまいや立ちくらみになります。それらを防ぐために、我々の身体には循環調節機能が備わり、脳への血液量を維持し、長時間でも立っていられることを可能にしているのです。
実は、この無重力状態に近い環境になる場面が、我々の日常生活にもあります。それは、就寝時。身体を横にすると、事実上、重力の影響をあまり受けない状態になります。では、重力を受けないと先程、お話した循環調節機能はどうなってしまうの?と思うでしょう。無重力の状態になると、立っている時に比べ、上半身に血液がたまりやすくなります。そのため、腎臓などへの血液量も増えますので、身体の体液量を維持するために、尿として排泄するので、体液が減少し、次第に血液量も減少していきます。その結果、心臓から送り出される血液量も減少しますので、ここで急に、立ったり、座ったり、重力を受ける姿勢をとると、循環調節機能は体内環境を保つために、いつも以上に働かなくてはならないので、めまいなどをおこすのです。ちなみに、宇宙空間では、下半身陰圧負荷(LBNP: lower body negative pressure)などを用いて循環調節機能をサポートするそうです。
人間にはホメオスタシスといって、外部環境に適応する機能があります。宇宙空間に長期滞在したり、寝たきりの状態が続くと、無重力状態に身体が適応しようとするので、急に重力を受ける環境下、つまり立ったり、座ったりを繰り返す生活に戻ると、身体が異なる環境に適応しようと、いつも以上に働くので、各器官に弊害が生じるというわけなのです。立ったり、座ったり、普段何気ないことでも、それには心臓はじめ様々な器官が微妙なバランスを維持するために盛んに働いているので、皆さん、心臓(ハート)はもちろん、自分の体をもっと労ってあげてくださいね。
■関連リンク:
宇宙医学
http://iss.jaxa.jp/med/index.html
ハートのつぶやき~夏到来!熱中症に注意!
2008年08月01日
昼間は蝉の鳴く声、夜は蛙の合唱。こんな“夏の声”を聞きながら過ごした夏の日はいつの頃だったか。ビルと舗装で覆われた地表面の増加により、都市部を中心にヒートアイランド現象が進み、「マンホールの上で目玉焼きが焼けるのでは?」と思うほどに暑い都会で過ごす今日この頃。さて、今月は、暑い夏の日に注意したい“熱中症”のおはなし。
熱中症とは、暑熱環境下でおこる体の不調で、多くの場合複数の症状が重なり、その重症度によってⅠ~Ⅲ度に分類されます。主な発症事例としては、熱波により主に高齢者に起こるもの、高温環境で幼児に起こるもの、暑熱環境での労働で起こるもの、スポーツ中に起こるものなどがあります。また、最近では、冷房の効いた室内で過ごすことが多いため、汗腺の働きが鈍くなり、うまく熱調節ができていないという報告もあります。厚生労働省の調査によると、気温別、時間帯別、年代別の熱中症による死亡災害発生状況をみると、30度以上の高温、午後2時~午後4時の時間帯、30代、50代の年代に多発しているそうです。熱中症は、症状を放置すると、短時間でも事態が急変することもありますので、注意が必要です。また、室内でも熱中症を発症するケースがあるので、油断はできません。
【熱中症の症状と重症度分類】
○Ⅰ度(軽症度):
めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、多量の発汗
○Ⅱ度(中等度):
頭痛、不快感、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感
○Ⅲ度(重症度):
意識障害・痙攣・手足の運動障害、高体温
ここで、万一、熱中症になった場合の対処法をご紹介します。まず、めまいなどⅠ度の症状が表れた場合は、すぐに水分と塩分を補給しましょう。更に症状が進み、吐き気や倦怠感などⅡ度の症状が表れた場合は、水分と塩分の補給に加えて、涼しい場所に横向きに寝かせて、風を当てるなどして身体を冷却させましょう。症状が改善しない場合には、自己判断せず、医師に診てもらいましょう。また、意識障害や痙攣などⅢ度の症状が表れた場合は、緊急を要しますので、救急車を呼ぶと同時に応急処置をしましょう。
暑い夏の日、くれぐれも熱中症に注意して、お過ごしください!
【意識障害が起こった場合の応急処置】
○涼しい所で、足を高くして横向きに寝かせる
○水分補給をする
○熱を下げる処置をする(首筋や脇に濡れタオルを当てる、手足に水をかける、うちわであおいで風を当てる)
■関連リンク:
熱中症保健指導マニュアル
http://www.env.go.jp/chemi/heat_stroke/manual.html
ハートのつぶやき~“1℃の上昇”がもたらす変化~
2008年07月01日
地球温暖化のあおりを受け年々気温が上昇しています。さて、暑い夏を迎えるに向けて、今回は“1℃の上昇”がもたらす“気候の変化”、“体の中の変化”についてのおはなし。
まず、気候の変化。
平均気温が1℃上昇するとどんな変化が起こるのでしょう?7月に開催される洞爺湖サミットを前に、昨年発表された国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の記述によれば、毎年平均気温が1℃上昇することで、近い将来、北アフリカや南欧、中東の水不足が深刻化、世界では約15億人が水不足に瀕するといわれています。その他、農作物生産量の低下による食糧問題、熱波による熱中症の発生や蚊の活動範囲が拡大することによる感染症の増加など、自然災害の激化が懸念されています。
また、海水温が1℃上昇すると、海流の変化、プランクトンの減少、生態系の変化などにより、従来の生物分布が大きく変化します。それに伴って、例えばプランクトンを餌にする魚類の減少などが起こります。また、海水温の上昇はエルニーニョ現象など気象状況にも影響を及ぼします。
続いて、体の中の変化。
そもそも我々哺乳類のように恒温動物では、食物を体内で化学分解することで発生したエネルギーにより、温められた血液などの体液が血管などを通じて全身に循環し体温となります。体温維持中枢は視床下部にあり、外気温や血液などの温度に合わせて調節されます。体温が1℃上昇すると、正常時に比べ13%代謝が増加し、発汗、倦怠感などの症状が現れ、体に負担がかかります。そのため体温が上昇すると、汗を流して熱エネルギーを発散することで体温を下げようとします。余談ですが、ビール業界では気温が1℃上昇するとビールの消費量が1%上昇するなんて話を過去に耳にしたことがあります。実際、猛暑の年はエアコンやビールなど夏物商品の売行きがよくなるとか。夏に汗をかきやすいのは、外気温が視床下部を刺激し、体温を低くして熱の発散を図ろうとするため。特に平熱が高い人が暑い中、強い緊張にさらされると、視床下部が常に刺激されている状態になるので、汗と共にストレスも発散するよう気をつけてください。もちろん熱の発散で失った水分などの補給も忘れないでくださいね!
それにしても、“1℃の上昇”には、色々な意味がありますね。 “1℃上昇”を防ぐことは、健康維持にも関わってくることです。皆さん、今年は、体のケアと共に地球のケアにも気を遣う、そんな夏の日を過ごしてみてはいかがでしょうか?
■関連リンク:
環境省IPCC第4次評価報告書
http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th/message_main.html
ハートのつぶやき~カビの力~
2008年06月17日
この季節、雨が続き、じめじめとして嫌ですね。この時期を梅雨と呼ぶようになった由来には、湿度が高く黴(かび)が生えやすいことから「黴雨(ばいう)」と呼ばれていたものが、「梅雨」に転じたという一説があるそうです。カビと聞くといや~なものをイメージされる方が多いかもしれませんが、今回は私たちの食卓にも現れる食品に利用されるカビのおはなし。
カビが分泌する酵素の作用には、大別して、タンパク質をアミノ酸に分解することで風味をつけることと、デンプンを糖化することがあります。この作用を使用した代表的な食品には、「チーズ」、「日本酒」、「焼酎」、「醤油」、「味噌」などがあります。チーズに利用されるカビには、アオカビ、白カビ、またヨーロッパではその土地特有のカビなどがあります。それぞれカビの持つ作用は異なります。アオカビは、リパーゼと呼ばれる酵素により、脂肪を分解する能力に長け、独特の風味を醸成します。代表的なものには、ロックフォール(山羊乳)、ゴルゴンゾーラ(牛乳)、スティルトン(殺菌済の牛乳)があります。白カビには、タンパク質分解酵素がチーズ内のカゼインと呼ばれるタンパク質を分解、またチーズ内の乳酸菌の分泌する乳酸を消費し、酸度上昇による乳酸菌の死滅を防止します。代表的なものには、カマンベール、ブリーがあります。日本酒や醤油、味噌など日本古来の食品には、コウジカビを米や麦などの穀物につけてつくる麹を利用して醸造を行います。カビの利用の有無が、酒造における洋の東西を分けるといわれています。麹はアミラーゼと呼ばれるデンプン分解酵素の活性によりデンプンを糖化し、発酵を促進します。米に水と麹を加えたものが日本酒、大豆と小麦に麹と塩と旨味を加えたものが醤油、大豆に塩と麹を加えたものが味噌ということになります。
また、1929年アレクサンダー・フレミングにより発見された抗生物質「ペニシリン」も実はアオカビから抽出され、感染症の治療薬として広く用いられています。カビではありませんが、心臓病の治療に使用される薬剤溶出ステントに塗られた薬剤には、イースター島の土壌から抽出された自然物質が使用されているものがあるそうです。自然界には、まだまだ知られざる物質がたくさん潜んでいるのでしょうね。
このように、「カビ」は種類によっては、様々な場所で様々な形になって生かされています。ただし、体に有毒なカビも多々ありますので、皆さん、この季節、体に“良い”カビと“悪い”カビをしっかり見分けて、室内の“カビ対策”に取り組んでください。
■関連リンク:
http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?id=1542300-0000&kind=jn&mode=5
ハートのつぶやき~とっておきの「ハートケア」知識を心(ハート)に刻んで出かけよう!~
2008年05月01日
風薫る5月。若葉の色が目に鮮やかになってきましたね。緑の香に誘われ、外に出かけたくなる今日この頃…日本では大型連休がありますね!今年は飛び石ながらも、うまく休みを組み合わせて旅行に出かける人も多いのでは?
さて、そんなあなたに、外出時や旅行時も「ハート」に関心を持って欲しいと思い、今回は簡単にできる「ハート」にやさしい豆知識を2つほど。
まずは、「水」について。人間の体は、約60%が水分で占められているといわれています。体内の水分の約10%失うと脱水症状が現れ、約15%失うと生命が危険な状態になります。脱水症状が現れると、水分が不足しているので血液濃度も高くなり、心筋梗塞などを起こしやすくなるといわれています。長時間日差しの下にいると体の水分は気付かないうちに失われています。睡眠中にもコップ約1杯の水分が失われています。成人が1日に必要な水分量は、食事に含まれる水分も含め約2.5リットルといわれていますので、こまめに水分をとることが必要というのもうなずけるでしょう。
最近では、ミネラルウォーターの種類も豊富になり、飲み分けている人もいらっしゃるかもしれません。ミネラルウォーターは、水分に含まれるカルシウムやマグネシウムといったミネラル成分の含有量(硬度)によって、「軟水」、「中硬水」、「硬水」に大別されます。「過ぎたるは及ばざるがごとし」で、飲みすぎには注意が必要ですが、体調にあわせて飲み分ける際のご参考までに。
○軟水:
硬度100以下のものを指す。血液の粘度を調節し、血液の流れをよくするといわれている。
○中硬水:
硬度101~300のものを指す。煮物や鍋物、洋風だし等、加熱調理に向いているといわれている。
○硬水:
硬度301以上のものを指す。ミネラルが多く含まれ、運動後のミネラル補給や、妊産婦のカルシウム補給、消化器系の粘膜を刺激するので便秘解消などにも効果があるといわれている。
次に適度の「運動」について。旅行に出かける人は、移動の間、長時間同じ姿勢のままになったりしていませんか?そんな時、簡単にできる体操をご紹介します。
本委員会では、狭心症や心筋梗塞の原因となる生活習慣病を改善させ、同時にストレス解消にも繋がるような無理なく続けられる「ハートケア体操」をつくっております。椅子に座ったまま、テレビを見ながらでも、簡単にできるので、運動不足の方でも気軽に始められますので、是非一度お試しください!
■ハートケア体操(画像をクリックすると拡大できます。)
ハートのつぶやき
~特定健康診査・特定保健指導スタート~
2008年04月01日
新年度が始まる4月。健診制度にも新しい風が!皆さんもご存知の通り、「特定健康診査・特定保健指導」が始まります!
これは、食生活の欧米化などに伴い、虚血性心疾患、脳血管疾患などの疾病の危険因子である脂質異常症、高血圧症、糖尿病などの生活習慣病の有病者や予備軍の増加に歯止めをかけようと、2006年の医療制度改革によって、2008年4月より、健康保険組合や国民健康保険などに対し、40歳~74歳の加入者とその扶養者に対し、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した「特定保健診査」の実施を義務付けたもの。また、健診結果より生活習慣の改善が必要な人には、その程度によって「動機付け支援」と「積極的支援」に分類された「特定保健指導」を行っていくそうです。いずれの場合も、初回の面接においては、医師、保健師、管理栄養士が、対象者とともに、これまでの生活習慣を振り返り、各自に合った行動目標を設定します。
主な変更点は、以下の通り。
・メタボリックシンドロームの診断基準で用いられる腹囲の測定が必須項目になったこと
・総コレステロールの測定の替わりに、動脈硬化に関係する悪玉コレステロールと言われるLDL-コレステロールを測定するようになったこと
・健診結果により、生活習慣の改善が必要な人に特定保健指導を行うこと
ちなみに、「特定保健指導」の内訳は、以下の通り。
・「動機付け支援」:
原則1回の支援。支援方法は、個別(最低20分以上)もしくは8人以下のグループ(最低80分以上)で実施。
・「積極的支援」:
動機付け支援と同様の支援後、継続的に3ヵ月以上の支援を実施。支援方法は、個別支援、グループ支援、電話、e-mail、FAXなどを効果的に組み合わせて実施。
皆さん、健康診断を受けただけで満足し、結果表を机の奥底に眠らせたままにしていませんか?健診結果で黄色信号が点った方は、自分の体と長く健康に付き合っていくためにも、これを機に生活習慣を改善していきましょう。
■関連リンク:
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02a.html
ハートのつぶやき~蜜蜂からの贈り物~
2008年03月01日
日に日に寒さも和らぎ、時折、暖かな春の陽光が差し込む今日この頃。この時期は、「三寒四温」という言葉で表されるように、寒暖を繰り返しながら徐々に春に近づいていきます。桜の開花予想にあわせて、お花見の予定を立てている方も多いのではないでしょうか?
さて、今月は春の訪れを彩る「花」にちなんで、蜂蜜のおはなし。
米国蜂蜜協会によると、米国には300種類以上の蜂蜜があり、その風味は、蜜蜂が訪れる蜜源植物によって決まるそうです。種類によって異なりますが、平均的な蜂蜜の主成分は、果糖、ブドウ糖、水分、ショ糖で構成されており、微量成分として、鉄、ナトリウム、カリウム、アミノ酸、ビタミンB1、B2を含みます。また、蜂蜜の歴史を紐解くと、スペインのアラニア洞窟で約1万年前の壁画に蜂の巣から蜜を取る女性の姿が描かれていたことからも、蜂蜜と人間の関わりは非常に長いことがわかります。
古くから私たちの身近にあった蜂蜜ですが、最近蜂蜜に含まれる栄養成分による様々な効果が報告されています。もともと私たちの生命活動に必要なエネルギーを捻出するのに果糖が使われるので、それもうなずけるところ。
働きものの蜜蜂に感謝しつつ、皆さんも自然の恩恵にあずかってみましょう!
ちなみに、働き蜂が女王蜂のために作り出すローヤルゼリーを食べる女王蜂は、働き蜂に比べて、体の大きさは2倍、寿命は働き蜂の平均約1ヶ月に対し、4~6年となり、その間に100万個ほど産卵するといわれています。
【蜂蜜の成分の有効作用】
○ブドウ糖、果糖:
糖類の中でも体内に吸収されるのが早いため、尿酸の分解作用とともに、疲労回復に役立つと言われています。その他、栄養増進、強心、利心、利尿、解毒作用があると言われています。
○ミネラル:
蜂蜜中のミネラルは、コレステロールを除き、血液をアルカリ性に保ち、内臓の働きを活発にし、生活習慣病が原因となる心臓病などに有効だと言われています。
○ビタミンB群:
パントテン酸の作用で老化を防止したり、美容効果が高いと言われています。
■関連リンク
健康食品辞典
http://tanalog.com/taiseidrug/2006/01/11/1136921676873.html
日本養蜂ハチミツ協会
http://bee.lin.go.jp/
米国蜂蜜協会
http://www.nhb.jp/news/news_01.html
ハートのつぶやき~カカオと心臓(ハート)の関係~
2008年02月01日
2月、ハート…といえば、思い浮かぶのは、「聖バレンタインデー」。実はこの日は「チョコレートの日」にもなっています。というわけで、今月はチョコレートの主成分である「カカオ」のおはなし。
カカオは、学名「あおぎり科 テオブロマ属 カカオ」といいます。テオブロマとは、「神様の食べ物」という意味で、昔は王侯貴族にのみ許された貴重な食べ物だったそうです。
カカオは、ポリフェノール、テオブロミン、マグネシウム、トリプトファン、GABA(ギャバ)など、様々な成分を含むため、古くから薬用としても利用されてきました。最近では、カカオ成分の健康効果に注目が高まり、欧米ではカカオ成分が心臓病などのリスクを下げる期待があるという研究もなされているそうです。また、米国の心臓学会の発表では、チョコレートが血栓予防に有効であることも示唆されているそうです。
今月は、何かとチョコレートを口にする機会が増えるかと思いますが、市販されているチョコレートにはカカオ成分のほかに、砂糖やミルクが含まれますので、カロリーを摂りすぎないためにも、食べすぎには十分注意してくださいね!
【カカオの成分の有効作用】
○ポリフェノール:
LDLコレステロール(悪玉)の酸化を阻害し、高血圧や動脈硬化の予防が期待されます。
○テオブロミン:
末梢血管を広げ、血液の流れをよくしたり、強心作用や腎血管を広げ、利尿効果が期待されます。
○マグネシウム:
体内の酵素の働きを助け、心臓や血管などの正常な機能を維持する効果が期待されます。
○トリプトファン:
必須アミノ酸の1つで、脳に運ばれセロトニンをつくり、鎮痛、催眠、精神安定などの作用が期待されます。
○GABA(ギャバ):
アミノ酸の一種で、酸素供給量を増やしたり、脳細胞の代謝機能を高める効果が期待されます。
■関連リンク
日本チョコレート・ココア協会
http://www.chocolate-cocoa.com/dictionary/cacao/characteristic.html
チョコレートとカカオとココアのすべて
http://net55.main.jp/cacao/archives/2006/08/post_2.html
ハートのつぶやきスタート!
2008年01月08日
あけましておめでとうございます。本年も「ハートケア情報委員会」をどうぞ宜しくお願いいたします。
さて、本委員会では、皆さんに「ハート」にもっと関心を持っていただき、「ハートケア」な生活のお役に立てればという思いから、時節に合わせたお役立ち情報をお届けする「ハートのつぶやき」をスタートします。
「一年の計は元旦にあり」とはよく言いますが、皆さんは今年はどんな目標を立てましたか?
今年は、メタボリックシンドローム撲滅のため4月から始まる「特定健康診査・特定保健指導」と、7月に主要テーマの一つとして地球環境問題が取り上げられる予定の「北海道・洞爺湖サミット」など、人や環境の「健康」に焦点があたることが多くなりそうです。
さて、そんなご時世。もとは、環境に配慮して始まったものらしいですが、軽度の運動により健康にも一役買っているのではないかと、本委員会が注目したのが、「自転車」を中心とした生活を町ぐるみで行っているフランスは、パリの「ベリブ」のお話。
「ベリブ」とは、2007年7月にパリで始まった24時間貸自転車制度のこと。その語源は、フランス語のベロ=自転車と、リベルテ=自由を掛け合わせたものになります。この制度により、パリ市内のいたるところに自転車の無人スタンドを配置し、気軽に自転車が利用できるようになりました。人気の秘訣は、約300メートル毎にあると言われる市内のどこのスタンドでも乗り降り自由という利便性に加え、利用するには、貸し出しスポットにある自動支払機で、1年用、1週間用、1日用と、3種類あるカードの中から利用頻度に合ったものを購入し、自転車をピックアップするだけという手軽さ。どのカードでも、最初の30分は無料で、次の30分は1ユーロ、その次は2ユーロ、その次は4ユーロとチャージされていきます。
ベリブによるパリの大気汚染防止と温室効果ガス削減の効果と同時に、市民の健康にもどんな効果が表れているのか注目していきたいところです。 ちなみに、性別や年齢、走行条件によって異なりますが、標準的な自転車走行による1時間あたりの消費エネルギーは、体重60kgの男性で160kcal、同女性で130kcalと言われています。皆さんも専門家と相談して気持ちよく続けられる、とっておきの健康法を見つけてくださいね!
■関連リンク
http://homepage2.nifty.com/kiyopi/aerob2.htm
■現地取材
